キャッチコピーの作り方トレーニング

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キャッチコピーは閃くものではありません。
キャッチコピーは考えるものです。

 

“閃く”というと、なにか天から突然降ってくるような、そんなイメージです。
けれど、それはただキャッチコピーを思いつくのを待っているだけの状態です。

 

もう一度いいます。

 

キャッチコピーは閃くものではなく、考えるものなのです。

 

でも、「どうやって考えたらいいのか?」、それがわからないと途方に暮れている方が多いのではないでしょうか。

「なかなかいいキャッチコピーが閃かない」、という人がいます。その方はきっと、キャッチコピーを考えているのではなく、思いつくのを待っているだけといっても過言ではありません。

 

それでは、どう考えたらいいのでしょうか。
今回ご紹介するのは、キャッチコピーを考えるためのトレーニングのひとつです。
ぜひやってみてください。

 

キャッチコピー作りのトレーニング①

“I Love You”を言い換えてみる

 

“I Love You”の意味は誰もがおわかりだと思います。

“私はあなたを愛しています”、これを違う言葉に置き換えて表現してみましょう。

 

時間は3分。

ちょっとだけ時間を取って、“I Love You”を言い換えてみましょう。

もちろん、日本語でかまいません。「私はあなたを愛しています」、「僕はあなたが好きです」という言葉を別の言葉で表現してみてください。

 

キャッチコピーを作るポイント①:

気の利いた言い回しを最初から思いつこうとしない。

 

“I Love You”を、明治の文豪、あの夏目漱石は“月が綺麗ですね。”と訳したといわれています。
実際には、夏目漱石のお弟子さんが“I Love You”を翻訳したとき、「我、汝を愛す」と訳していたのを見て、「日本人は恥ずかがってそんなことは言わない。月が綺麗ですね、とでも書いておけ」と呟いたと言われています。

 

そしてもうひとり、日本で初めて小説を書いたと歴史の教科書でも紹介されている二葉亭四迷が訳した“I Love You”は、「死んでもいいわ」でした。

 

「月が綺麗ですね」も「死んでもいいわ」も、どちらもなかなかに気のきいた言葉です。
そして、あなたも夏目漱石や二葉亭四迷と同じようになにか気のきいたひと言をいいたいと、無意識のうちに思ってしまうのです。

 

すると、あなたの頭のなかは、その気のきいたひと言を思いつくのをただ待つだけという状態になってしまうのです。
この状態は、あなたがなにかキャッチコピーを作ろうとしたときと同じではないでしょうか。

 

ほとんどの方は、キャッチコピーを考え作るものではなく、ただ閃き思いつくのを待つものだと誤解されているのです。
キャッチコピーは、考えるものであり、論理的につくるものなのです。

 

それではどうやって考え、どうやって作るのか。
そのためにまず、簡単な言い換えからはじめていただきたいのです。

 

「好き」、「好き。」、「好きです。」、「すきです。」、「好き、です。」「好きです…。」、「スキデス。」、「好き!」、「好きだ。」、「好きなんです。」、「好き、です!」、「好きです…!」、「好きなんだけど。」、「好きだったんだけど。」、「好きやねん。」、「好きだから。」、さらに「愛してる。」、「愛してます。」、「愛しています。」、「愛してるんだ。」、「愛してるよ。」、「愛してるんだけどなぁ。」、「アイシテイマス。」

 

もう無限なくらい書き換えることは可能ではないでしょうか。

 

しかも、いま書いたものをもう一度見直してみてください。ひとつひとつ、その言葉のニュアンスは、少しずつ、いやまったく違っていないでしょうか。

 

そうです、あなたがそれに気づいてくれたのなら、あなたはきっとキャッチコピーを書く力があるのです。

 

IとYouの関係性だけ、キャッチコピーは生まれる。

 

“I Love You”というときの“I”と“You”との関係性、距離感で、“I Love You”という言葉に込められた意味は変わってきます。
つまり、「どんなLoveなのか」、「どうLoveなのか」、「どうLoveしてもらいたいのか」、その数だけ、無限に言い換えることができるのです。

 

漢字をひらがなやカタカナに変える、ただそれだけで、もう伝わる意味やニュアンスは異なってきます。
“!”や“?”、“…”をつけるつけないでも、同じように意味やニュアンスは違ってくるのです。

 

何を伝えたいのか、それを気持ちやニュアンスを込めた言葉で伝えることで、相手の気持ちを動かすのがキャッチコピーです。

 

だから、どんな気持ちを込めたいのか、どんなニュアンスを伝えたいのか、相手との関係性はどうなのか、そのシチュエイションの数だけ新しい言葉は、言い回しは、キャッチコピーは生まれるのです。
そのシチュエイションをひとつひとつ考えることが、キャッチコピーを考えるということなのです。

 

すべてのキャッチコピーは“I Love You”の言い換え。

 

商品やサービスを買ってもらう、企業やブランドに好意を持ってもらう、それがキャッチコピーの目的です。
すべてのキャッチコピーの目的は、自分が相手を好きであること伝え、相手にも自分のことを好きになってもらうことだと言い換えることができるのです。

つまり、すべてのキャッチコピーは“I Love You”の言い換えであるといえるのです。

 

トヨタ自動車さんのテレビコマーシャルで、登場した北野武さんは、CMのラストで海に向かって「バカ野郎!」と叫んでいます。

 

この「バカ野郎!」は、馬鹿野郎と相手を罵倒し、愚弄する言葉でないことはおわかりでしょう。

大震災の後、復興に向かう石巻の方々への慈しみと思いやりと、そして地震や津波や災害を引き起こした見えない力へのやり場のない憤り。そんな“I Love You”という万感の想いが、この「バカ野郎!」というキャッチコピーには注がれているのではないでしょうか。

 

 

“I Love You”の対極ともいえる「バカ野郎!」という言葉が、実は同じ意味を込めて使われていることをあなたもきっと頷いてくれるのではないでしょうか。

 

「大嫌い」も“I Love You”と同じキャッチコピー。

 

例えば、「大嫌い」という言葉を噛み砕いてみましょう。
「あなたのことがこんなに大好きで愛しているそんな私の気持ちをわかってくれない、そんなあなたなんて大嫌い!」という気持ちが、この「大嫌い」というひと言には込められています。

だから、「大嫌い」も“I Love You”の言い換えなのです。

 

そして、男性なら誰もが一度は「大嫌い」といわれてみたい、そんな憧れの言葉のひとつかもしれないのです。
同じように、恋人同士ならば「お疲れさま」とか、「いまどこにいるの?」という、一見ただの業務連絡のように思える言葉さえ、すべて“I Love You”の言い換えに違いないのです。

 

そう考えてみると、なんだかキャッチコピーを作ることって、とても素敵なことだと思えてきませんか。
さっきまで、キャッチコピーを作ることに頭を抱えていたそんなあなたの気持ちがパッと明るくなってくれたとしたら、これほど嬉しいことはありません。

 

まとめ

 

キャッチコピーを作ろうとすると、ついつい頭のどこかでブレーキがかかってしまう。そんなブレーキをまずはずしていただきたいのです。キャッチコピー作りが上手なひとは、決して思いつくのを待っているわけではないのです。

 

では、どうやってキャッチコピーを考えるのか、そのやり方は決してひとつではありません。そして、そのあなただけの方法を見つけるために、こんなトレーニングもきっと効果的だと確信しています。キャッチコピーは思いつくものではなく、考えて作るもの。そうご理解いただくだけで、あなたのキャッチコピーを作る力はきっと飛躍的にアップするはずですから。

 

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