キャッチコピーの作り方は、USPの見つけ方から。

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キャッチコピーを作るとき、まず大切なことはそのキャッチコピーでなにを訴えるかということです。
そして、キャッチコピーでいうべきことは、その商品・サービス・ブランドが、ターゲットに約束できることです。

 

それを、広告・マーケティングの専門用語で、USP(Unique Selling Propositionユニーク・セリング・プロポジション:独自の売りの提案)といいます。USPは「何」かを考えることは、そのままキャッチコピーを考えることに直結します。

しかし、このUSPを考えることくらい難しいことはありません。
その難しさは、まずUSPを考えだし、抽出することの難しさ、そしてその抽出したUSPのなかから、たったひとつのUSPを選定することの難しさです。

このUSPを考える段階でかかるブレーキを外し、誰もがカンタンにUSPを考えられる、その方法をやさしく解説していきます。

 

1. そもそもUSPって、なに?

1-1. USPで売上げを3倍に

USP(Unique Selling Propositionユニーク・セリング・プロポジション:独自の売りの提案)は、1960年代に活躍したアメリカのコピーライター、ロッサー・リーブス(Rosser Reeves:1910年—1984年)が提唱した広告・マーケティング理論です。

ロッサー・リーブスは、当時アメリカ・ニューヨークで広告代理店が多数集結したマディソンアベニューの全盛期に、多くの大規模な広告キャンペーンを手掛け、その際にある共通した理論でそれらのキャンペーンを成功に導いたと言われています。

そして、その理論がUSPの発見なのです。

 

ロッサー・リーブスは、このUSP理論により、M&Mチョコレートや、コルゲート歯磨き、ミニッツメイドオレンジジュースをはじめ、数多くの広告キャンペーンを成功に導きました。なかでも、アナシンという頭痛薬の広告キャンペーンでは、売上げを3倍に伸ばすという途方もない成果を達成したのです。

 

1-2半世紀前に発見されたUSP理論がいまも色あせない理由

 

USPとは、競争相手が真似できない販売上の提案という意味で、リーブスは、広告とはターゲットである見込み客に対する独自の提案(Propositionプロポジション)でなければならないといいました。
ここで学ぶべきことは、

 

①競合する企業や商品やブランドが示せないユニークさを持っていること、

②その商品を手に入れることで得られる便益(Benefitベネフィット)が提案(Propositionプロポジション)されているということです。

 

 

そしてこの考え方、この理論は、“ひとの気持ちを動かす”というキャッチコピーの根本の原理・原則にしたがったものに違いありません。

リーブスは、USPの基準として以下のことを強調しています。

 

まずはじめに、広告はターゲットである見込み客への提案でなければならないということです。この商品を買えば、こういう利益を手にすることができるという提案になっていなければならないということです。

 

次に、その提案は自社だけができる独自のもの、もしくは競合他社がまだ提案していないものでなければならないといっています。

 

USPを考えるとき、この競合他社がまだ提案していないものということも重要な視点です。たとえ競合他社が同じことができたとしても、先にそれをUSPとして掲げることで差別化は可能なのです。

 

また、どこの企業でもいえることであっても、その企業だけがいっていることならUSPといえるのです。
ドミノピザの「30分でお届けします」というサービスは、他のピザ宅配業者でもできることですが、ドミノピザが最初にいったということが、ドミノピザの成功を導いたのです。

 

また、西武百貨店が「不思議大好き。」や「おいしい生活。」をはじめとするキャッチコピーで話題になっていたとき、こういうキャッチコピーはほかの百貨店でも同じことをいえるという議論が持ち上がったものです。

 

けれど、たとえ同じことを言えたとしても、ほかの百貨店がいわなかったことを西武百貨店はいったということが広告として最も大切なことだったのです。

半世紀もの時が流れたいまも、そしてこれからも人間の感情の動きが変わることは決してありません。
テレビCMや新聞・雑誌広告でも、Web広告でもそれは変わりないのです。

 

テレビ、新聞、雑誌等のマス広告であろうと、インターネットのHPであろうと、それを見て心動かされるターゲット、見込み客の心の動きのメカニズムは同じなのです。

 

だからこそ、このUSPによる競争相手が真似できない販売上の提案は、キャッチコピーを作る上での最も強力な「なに」をいうかにあたるのです。

 

引用文献

『USP ユニーク・セリング・プロポジション 売上に直結させる絶対不変の法則』(ロッサー・リーブス著)

 

 

2.「なに」をいうかを誰でもカンタンに考えられるラダリング法

2-1誰でも簡単にUSPを見つけられる:ラダリング法

ラダリング法とは、ラダー、つまり梯子を上るように、誰でもカンタンに「何」をいうかを考えられるUSP抽出法です。

その商品・サービスのベネフィットをキャッチコピーにしなければならないという原理・原則は在りません。

 

確かに見込み客が購入するのは、商品ではなく、商品がもたらすベネフィットに違いありませんが、このベネフィットを何に設定するかが、その広告の、そのキャッチコピーの“コンセプト”になるのです。

この“コンセプト”を設定するときに最も大切なのが、その商品の見込み客が「なに」が欲しいかなのです。

広告を作る側の勝手な思い込みで、見込み客に買ってもらいたい「ベネフィット」を押しつけてはいけないのです。

 

①商品の性能・機能が欲しいのか、

②その商品がもたらすベネフィットが欲しいのか、

③そのベネフィットが約束してくれるバリューが欲しいのか、

④結果的にトータルで得られるサティスファクションが欲しいのか。

 

こうして段階的に考えていくことにより、より広範囲かつ多岐に渡り、USPを探索することができるのです。

 

 

2-2.誰でも簡単にUSPを見つけられる:ラダリング法の実例

 

それでは、具体的な商品例で考えていきましょう。
これは僕が手掛けさせていただいた、東京メトロ有楽町線「月島」駅に直結する超高層マンションのコピーを考えるステップでした。

ベネフィット、バリュー、サティスファクション

まず、性能・機能
ただし、これは立地における性能・機能面からの考察です。

「地下鉄有楽町線月島駅直結徒歩1分」。

 

ここから導き出されるベネフィットは、
「通勤時間が短くなる」です。

 

ターゲット、見込み客は、都心、具体的にいえば大手町に通勤するサラリーマンの方々です。
当然のことながら、最寄り駅の月島駅から銀座一丁目駅まで地下鉄で○分、有楽町駅まで○分、そして大手町駅まで○分と通勤時間は圧倒的に短くなります。

 

このベネフィットがもたらすバリュー、価値は、

 

「可処分時間が増えること」。

 

通勤時間が減る分、自由に使える時間が増えることが、ここに住まうことによって得られる価値なのです。

 

さらに、このバリューがもたらすサティスファクション、人生の満足が、

 

「仕事の時間も、家族との時間も、自分の時間も増やせること」。

 

仕事を取るか、家族を取るかではなく、仕事も家族も両方大切にできる。しかも、自分だけの時間も確保できるというわけです。

 

こうして、「性能・機能」から段階的に考えていくことで、「サティスファクション」まで容易にたどりつくことができるのです。

 

最初からこの「サティスファクション」を考えようとすると、キャッチコピーを作るときと同様に、思いつくのを待ってしまいがちなのです。

 

こうして梯子を一段一段上るように、ワンステップずつ考えていくことで、より高いレベルでの訴求ポイントを誰

でも簡単に考え出すことができるのです。

 

 

2-3 ラダリング法で見つけたひとつひとつのUSPがキャッチコピーになる

 

このラダリング法を用いると、誰でもカンタンに、しかもスピーディに数多くのUSPを「発見」することができます。
ここで「発見」と書きましたが、キャッチコピーはいままでにないものを「創造」することではなく、ひとのライフスタイルのシーンや心のなかを想像して「発見」して作るものなのです。

ないものを「創造」しようとすると、ただ思いつくのを待ってしまい、考えることができません。

 

「発見」は作業ですから、いろいろな資料を読んだり、ターゲットにインタビューしたりするなかで、誰でもできることなのです。

 

そして、こうして見つけ、「発見」したひとつひとつのベネフィット、バリュー、サティスファクションというUSPは、そのままキャッチコピーになるのです。

 

「なに」をいうかを考え抜いていくと、「どう」いうかを考えなくてもキャッチコピーができてしまうということをぜひご理解いただきたいのです。

 

メリット、ベネフィット

 

 

 

まとめ

 

ひとを動かすキャッチコピーづくりに、最も大切な理論のひとつがUSP(Unique Selling Propositionユニーク・セリング・プロポジション:独自の売りの提案)です。

この理論を単なる机上の理論として知識に終わらせてしまうのではなく、ぜひキャッチコピーを作るためのステップとして活かしてください。

何度も同じことをいいますが、キャッチコピーを作ろうとすればするほど、キャッチコピーは逆に作れなくなってしまいます。

そして、「なに」をいうかをどこまでも考えつづけることで、あなただけのいままでにない「発見」をキャッチコピーにしていただきたいのです。

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