土屋耕一さんという不世出のコピーライターの方がおられます。
もう亡くなられてしまったのですが、
コピーライターがお洒落な職業のひとつと世の中に認知される前から、
誰よりもお洒落なコピーライターの第一人者のひとりでいらっしゃいました。
いや、お洒落というより、粋といったほうがいいかもしれません。
しかも、江戸っ子の粋です。
その土屋耕一さんがあるアメリカの広告のキャッチコピーの
“翻訳”のキャッチコピーをつくられたときのことです。
その広告のキャッチコピーは、「DRINK」でした。
直訳すれば「飲め」ではないですか。
でも、それではキャッチコピーにはならない。
「DRINK」が表現しているのは、もっと深い意味があるはずだと、
土屋さんは考えに考え抜かれたすえ、こんなキャッチコピーを書かれたのです。
「乾きに」
アメリカのダイレクトレスポンスマーケティングのキャッチコピーを
安易に直訳して紹介し、さらにそれをスワイプしろなどと
呆れた戯言をいっている輩には、この深さは理解できないでしょう。
「DRINK」を「乾きに」と翻訳できるのは、コピーライターだけの特権です。
凄いなあ、コピーライターって。と思わせてくださる、
土屋耕一さんに改めて合掌です。
1958年、横浜生まれ。同志社大学文学部卒業。
広告企画制作・株式会社エヌワイアソシエイツ、総合広告代理店・株式会社インターストラテジー、ソーシャルメディア専門広告代理店・株式会社ソルト等の経営者であり、広告プロデューサー、ブランディングプロデューサー、コミュニケーションクリエイター、ディレクター、コピーライター、コーチ、セミナー講師、作家、詩人として幅広く活動。大手企業の広告キャンペーンを手がけ、多くの商品をヒットに導く。30年以上の広告人としてのキャリアの中で培った、商品の隠れた可能性を見つけ、付加価値を高める独自のブランディング手法を確立。そのブランディングノウハウを広く提供し、著名人の撮影やクライアントのパーソナルブランディングをプロデュース。プロフィール構築からポートレート撮影、目標達成や成功をサポート。クライアントは多岐にわたり、カリスマブランディングプロデューサーとしても定評を集める。マイケル・ボルダック認定コーチ。経済産業大臣登録中小企業診断士。