あなたはいま、自分が納得できるキャッチフレーズが作れずに途方に暮れていないでしょうか?
もしかしたら、コピーライティングに関するあらゆる本を読みまくり、コピーが書けるようになれるという情報商材を買いまくり、それだけにとどまらずセミナーに通いまくった人もいるでしょう。
それなのに、いざキャッチフレーズを作ろうとすると、いったいどうやって作ったらいいのかわからないという方が実際には少なくありません。
でも、これまであなたはキャッチフレーズの作り方を知らなかっただけで、決してあなたが怠けていたわけではないのです。
実は、有名なコピーライターや、すらすらとコピーを書くひとが当然のように知っている、キャッチフレーズの作り方にはある原則があります。それをあなたはまだ知らないというだけです。
いままでキャッチフレーズの作り方に苦しんできたひとも、はじめて書こうとしている人も、この原則に沿って考えれば、驚くほどカンタン・スピーディに、文字通りひとの心をキャッチできるフレーズの作り方がわかるようになるのです。
誰でもいますぐマスターできるキャッチフレーズ作り方のノウハウを、順を追って解説していきますから、このとおりやってみてください。
ひとから「上手い!」といわれ、集客に効果を発揮するキャッチフレーズの作り方が、あなたもきっとわかるようになるでしょう!
目次
1.キャッチフレーズの作り方「作る」のではなく、「探す」
キャッチフレーズの作り方を学ぼうとしたときの落とし穴があります。
キャッチフレーズの作り方を学ぼうとすると、ほとんどのひとはどんなコピーがいいだろうと腕組みして考えることになるでしょう。
けれど、キャッチフレーズの作り方に悩んでいるひとは、そもそもどうやって作ったらいいのかわからないのですから、考えようと思っても考えることができないのが現実でしょう。
それでも考え続けようとすると、考えるのではなく、ただ思いつくのを待つ状態になってしまいます。
そんな落とし穴にはまってしまったら、思うようなキャッチフレーズの作り方がわからずただ時間が過ぎるだけになってしまいます。
まず、この状態から脱出することが最も大切なことです。
1-1.広告の歴史に残ったキャッチフレーズの作り方
広告の歴史に燦然と輝くこのコピーをあなたはご存じでしょうか。
「時速60マイルで走る新型ロールスロイスのなかで
一番の騒音は、電子時計の音だった。」
このキャッチフレーズを作ったのは、デイヴィッド・オグルビーという20世紀の広告界の偉人として、いまも尊敬され続けている偉大なるコピーライターです。
ところが、実はこのキャッチフレーズは、次ぎのようなキャッチフレーズを基に作られたものだったのです。
「新しいピアースアローの車のなか、
唯一聞こえるのは電子時計の音。」
広告界の歴史に残るキャッチフレーズさえ、そのもとになるキャッチフレーズがあったのです。
ならば、キャッチフレーズを作るのにまだ慣れていないあなたが、なにも参考となるキャッチフレーズがなく、ただ作ろうとしてもなかなか作れないのは当然のことでしょう。
新しいキャッチフレーズを作ろうとしているあなたが、まずやろうとすべきこと。
それは、いままであるキャッチフレーズのなかから、あなたが作りたいキャッチフレーズのために真似できるキャッチフレーズを探すことなのです。
真似できるキャッチフレーズの「型」を探すことも重要なことです。
あなたが作りたいのは、どんな種類のキャッチフレーズでしょうか。
それが、ネット通販のためのキャッチフレーズならば、ネット通販のコピーを集めた資料を探します。
なにかモノを売るためのセールスレターのキャッチフレーズの作り方ならば、セールスレターのキャッチフレーズを集めた資料を探します。
それをそのままいわゆるコピペしたのではただの真似になってしまいます。
そうではなく、あなたがその資料のなかから見つけ出したキャッチフレーズを基に、あなただけの新しいキャッチフレーズを作り方なのです。
参考資料
『バカ売れキーワード1000』(堀田 博和著)
この本の帯に「あてはめるだけで飛ぶように売れていく」と書かれています。
たとえば、この本のなかからあなたが作りたいキャッチフレーズに近いと思える1行を探して、その1行にあなたが伝えたい言葉をあてはめていけばいいのです。
キャッチフレーズの作り方で悩みつづけるのではなく、これからはあなたが作りたいキャッチフレーズに近いキャッチフレーズを探しつづけてください。
どうしても作れないときは↓
2.狙いは「何」かでキャッチフレーズの作り方がわかる
作りたいキャッチフレーズの目的を明確にすることで作り方がわかります。
あなたが作りたい言葉の狙いや目的は「何」か。
それが不明確なままキャッチフレーズを探そうとしても、当然のことながら探しようがありません。
同じ文章でも、狙いが変わればその頭のキャッチフレーズは変わってきます。
たとえば、メルマガとブログでまったく同じ本文だとしても、メルマガのキャッチフレーズ、つまり件名にあたる1行の狙いは開封してもらうことです。
それに対して、ブログの場合ではキーワード検索で目にとまることが狙いになります。
まったく違う狙いになりますから、キャッチフレーズの目的も作り方も違ってきます。
メルマガでは、開封して、本文を読んでもらうことが目的になるので、開封したくなる、本文を読みたくなる、そんな言葉にしなければなりません。
たとえば「このメルマガは読まないでください」という逆説的な言い方のキャッチフレーズにしたほうが、開封してもらえる確率も高まります。
一方、ブログで同じタイトルにしたら、検索されません。
この場合には、検索キーワードが含まれたキャッチフレーズにしなければならないのです。
キャッチフレーズの作り方にはさまざまな狙い・目的があります。
あなたが作りたいコピーの狙い・目的をまず考えることからはじめてください。
2-1.同じ商品でもキャッチフレーズの狙いや作り方は変化する
たとえ同じ商品のキャッチフレーズでも、その広告やメディアでの狙いが違えばキャッチフレーズは変わってきます。
たとえば新商品だったら、その商品の誕生を伝えたいのか、その商品の内容を伝えたいのか、その商品を試してもらいたいのか狙いはさまざまです。
あなたが作りたいキャッチフレーズの狙いや目的、作り方は何なのか。
商品は同じであっても、キャッチフレーズの狙いは、その都度変わってくることをぜひ認識しておいてください。
2-2.狙いはできるだけピンポイントに絞る
狙いや目的を絞らずにキャッチフレーズを作ろうとすると、どうしても総花的で曖昧なメッセージになりがちです。
狙いが小さければ小さいほど、そのキャッチフレーズはあなたが動かしたいターゲットの心に深く刺さります。
手のひらでもうひとつの手の甲をどんなに強く押してもそれほど痛くはないでしょう。
でも、針だとほんの少し押すだけでも痛かったり、血が出たりします。
あなたがキャッチフレーズを作る、その狙いはできるかぎり絞り込み、ピンポイントにしてください。
そうすることで、受け手の心に鋭く突き刺さるキャッチフレーズになるのです。
この章での学びをもっと深めるには以下の記事も合わせてご参照ください↓
参考記事1:キャッチコピーのアイデアが浮かばないときに試してみたい、誰にでもできる秘訣とは
参考記事2:ブログタイトルの決め方:集客のためのブログライティング
参考記事3:メルマガのタイトルの作り方|開封率を上げるたったひとつの原則
参考記事5:キャッチコピーをカンタン、スピーディに作れる!キャッチコピーの集め方
3.ターゲットを1人に絞り込むキャッチフレーズの作り方
たった1人のターゲットの特性を洗い出すことはとても大切です。
ピンポントに絞り込む狙いのひとつに、そのキャッチフレーズでキャッチしたいターゲットがあります。
ターゲットは、たった1人のひとに絞り込んでください。
なんとなく、あなたが売りたい商品を買ってくれるすべてのひとと考えてはいないでしょうか。
また、絞り込んだら、ほかのひとは買ってくれないと思い込んでいないでしょうか。
そうではないのです。逆に絞り込まずにターゲットを曖昧にしたままだと、誰にも振り向いてもらえないことになってしまいます。
たった1人のターゲットに届くキャッチフレーズだからこそ、そのたった1人の向こうに隠れている、たった1人のターゲットと同じような属性を持ったあなたの見込み客の心に、あなたの作ったキャッチフレーズが刺さるのです。
3-1.たった1人に絞る理由
あなたは、あなたに届いた手紙を読まずに捨てることができるでしょうか。
PCやスマホに届くメールは、たとえあなた宛てに届いたとしても、あなただけのための出されたものかどうかわかりません。
あなたはきっとほとんどのメールを無視するでしょう。
でも、そのなかのほんとうにあなたに宛てたメールだけは、開封し、なかに書かれた文面を確かめるに違いありません。
ましてや、丁寧に封筒で送られてきた私信の手紙を読まずに捨てるなどということはまずされないでしょう。
それは、その手紙がこの世の中でただ一人、あなたに宛てて書かれたものだとわかっているからです。
あなたが作るキャッチフレーズは、あなたが書く手紙の第1行といっても過言はありません。
その続きを読まずにはいられなくなる、そんなキャッチフレーズを作ってください。
この章の学びをより深めるには以下の記事も合わせてご参照ください↓
4.どう言うかではなく、何を言うかを考える
How to Say「どういうか」ではなく、What to Say「何をいうか」
キャッチフレーズの「狙い」と「ターゲット」が定まったら、その「狙い」を「ターゲット」に届かせるために、何をいえばいいかを考えます。
キャッチフレーズというと、無意識のうちに気のきいた1行を書きたいと思ってしまうため、「何をいうか」ではなく、「どういうか」を考えてしまいがちです。
上手い言い回しを考えようとしてしまい、そのキャッチフレーズの本来の目的から離れてしまうのです。
いわゆるHow to Say「どういうか」ではなく、What to Say「何をいうか」を考えることこそ、キャッチフレーズを作るときに最も大切な条件です。
4-1.ターゲットが求めているのはどんな「コト」か考える
「何をいうか」を考えようとしたとき、ターゲットが欲しがっているのは「何」かと考えることもいいやり方のひとつです。
アメリカのマーケティングのテキストに、「顧客が求めているのはドリルではなく穴だ」ということが書かれているのをあなたもご存じかもしれません。
電動工具のドリルという商品を買うとき、それを買うひとが欲しているのは、ドリルというモノではなく、穴をあけるコトだというのです。
なるほど、そのとおりかもしれません。
でも、実際には、そう断言することはできません。
ドリルそのものが欲しい場合もあるからで、ドリルは買っても穴などあけたことはないというひとも実はたくさんいるのです。
ところが、そんな場合でも、ドイツ製のドリルを所有するというコトをターゲットは求めているのです。
スターバックスのコーヒーはその典型です。
スターバックスのコーヒーを飲むひとは、あるときは味を求め、あるときはそれを飲みながら過ごす時間の上質さを求め、あるときはそれを飲んでいる贅沢な自分を求めています。
言い方を変えると、スターバックスのコーヒーが好きなのではなく、スターバックスのコーヒーを飲む自分が好きなのです。
このように、どんなコトをターゲットは求めているか考えようとすると、何をいえばいいかということも自然に浮かび上がってくるでしょう。
4-2.何をいうかを段階的に考える「ラダリング法」
商品のセールスポイントは、その商品自体の性能・機能だけではありません。
そのセールスポイントは、大きく4段階に分けて考えることができます。
性能・機能:商品のスペックから生みだされる特徴
ベネフィット:商品がもたらす効能・効果
バリュー:商品がもたらす価値
サティスファクション:商品がもたらす満足感
それぞれのセールスポイントを考察していくとき、最もわかりやすいのは性能・機能です。
そして、この性能・機能をもとに、階段を上るようにその性能・機能がもたらすベネフィット、バリュー、サティスファクションを考えていきます。
い きなり、サティスファクションを考えようとするとなかなか思いつきませんが、性能・機能からベネフィットを考察し、そのベネフィットから生まれるバリュー を発見し、さらにそのバリューがもたらすサティスファクションを段階的に考えていくようにすると、スムーズに思考の階段を上っていけるのです。
この章の学びを深めるには以下の記事も合わせてご参照ください↓
参考記事1:スマホでできるコピーライティング。たった1秒で、自分だけのダウンフレーム・ファイルをつくる
5.何をいうかをキャッチフレーズに変換する作り方
5-1.ダウンフレーム・コピーライティングのやり方、作り方
5-1-1. いいなと思うキャッチフレーズの作り方をフレーム構造にする
キャッチフレーズ、「まだ誰も着ていない。」(ヤマハテニスウェア)。
これを、まずダウンフレーム・ファイルにしてみます。
基本キャッチフレーズ
「まだ誰も着ていない。」
↓
ダウンフレーム・ファイル
「まだ誰も○○していない。」
5-1-2. ダウンフレーム・ファイルに伝えたい言葉を落とし込む
この○○の部分に、あなたが伝えたい言葉を落とし込むのです。
ダウンフレーム・ファイル
「まだ誰も○○していない。」
↓
「なに」をいうか
いままでにない自転車のグリップ
「握る」という言葉を
ダウンフレーム・ファイルに落とし込む
↓
ダウンフレーム・キャッチフレーズ
「まだ誰も握っていない。」
こうして、いままでになかった新しい自転車のグリップのキャッチフレーズができあがるのです。
5-1-3. さらにダウンフレームをつづける作り方
「まだ誰も着ていない。」
↓
「まだ誰も○○していない。」
↓
「まだ○○も○○していない。」
ダウンフレーム例
「まだあの人も使っていない。」
(新しい化粧品のキャッチフレーズ例)
↓
「○○、○○も○○していない。」
ダウンフレーム例
「きっと北海道の人も知らない。」
(新しい暖房器具のキャッチフレーズ例)
最初は、ひとつの言葉を入れ替えるだけですが、だんだんと入れ替える言葉を多くしていきます。
入れ替える言葉が多くなるほど、オリジナルのキャッチフレーズとは、まったく違うキャッチフレーズになっていくのです。
5-1-4. ダウンフレーム・キャッチフレーズの作り方の実例
基本キャッチフレーズ
「この街には、普通の言葉は似合わない。」(三井不動産レジデンシャル)
↓
ダウンフレーム・ファイル
「この○○には、○○の○○は似合わない。」
↓
「なに」をいうか
・ビジネスクラスでいくヨーロッパ熟年の旅
・結婚25周年、銀婚式を迎える夫婦が行く、ちょっと豪華な海外旅行
・普段は会話も少なくなった夫婦がこの旅行の間は恋人同士の頃に戻ったように会話し、笑顔で観光や食事や買い物を楽しめる
↓
ダウンフレーム・キャッチフレーズ
「この旅には、いつものふたりは似合わない。」
オリジナルのキャッチフレーズは、大規模マンションの広告キャンペーンのキャッチフレーズでした。
それをダウンフレームすることで、旅行商品のキャッチフレーズが作れました。
もともとあった不動産広告のキャッチフレーズをもとにダウンフレームしたという印象もまったくなくなっていませんか。
「ああ、あのキャッチフレーズを真似したんだな」とターゲット、見込み客に思われてしまった瞬間、そのキャッチフレーズは、キャッチフレーズの目的である「ひとを動かす」ということを果たせなくなってしまうのです。
ダウンフレームしていくなかで、どれだけオリジナルのキャッチフレーズから離れることができるのか、それもダウンフレーム・キャッチフレーズライティングのテーマのひとつなのです。
基本キャッチフレーズ
「失敗したなら、もう一度がんばればいい。
でも、マンション購入でそれはない。」
↓
ダウンフレーム・ファイル
「○○したなら、もう一度○○すればいい。
でも、○○でそれはない。」
↓
「なに」をいうか
・リバウンドしないダイエット
↓
ダウンフレーム・キャッチフレーズ習作版
「リバウンドしたなら、もう一度ダイエットすればいい。
でも、リバウンドしないダイエットでそれはない。」
このとき、言葉づかいをさらに微調整します。
↓
ダウンフレーム・キャッチフレーズ完成版
「リバウンドしたら、もう一度ダイエットすればいい。
でも、リバウンドしないダイエットならそれはない。」
基本キャッチフレーズ
「なんで、私が東大に!?」(四谷学院)
↓
ダウンフレーム・ファイル
「なんで、○○が○○に!?」
↓
「なに」をいうか
・期待を越えた結婚相手の紹介
↓
ダウンフレーム・キャッチフレーズ習作版
「なんで、僕がこんな結婚相手に!?」
言い回しの微調整
ダウンフレーム・キャッチフレーズ完成版
「なんで、僕にこんな結婚相手が!?」
四谷学院の不朽の名作、それが「なんで、僕が東大に!?」というキャッチフレーズです。
毎年、もう何年も、いや10年、20年以上、四谷学院さんはこのキャッチフレーズを使いつづけています。
それでも古びた感じを抱かない最大の理由があります。
それは、この広告のターゲット、見込み客が受験生だということです。
受験生になる前、このキャッチフレーズはまったく目に止まりません。
ところが、自分が受験生という立場になった瞬間、このキャッチフレーズが受験生の心に鋭く突き刺さるのです。
そして、無事受験が終了したあとは、もうこのキャッチフレーズも役目を終え、次の受験生の心に向かいます。
つまり毎年新しいターゲット、見込み客に向かって、このキャッチフレーズはメッセージを送りつづけているのです。
確かにメッセージは変わりません。しかし、ターゲット、見込み客が変わり続けるので、このキャッチフレーズは古びることがないのです。
興味深いのは、この「なんで、私が東大に!?」というキャッチフレーズを四谷学院さんご自身が“セルフ・ダウンフレーム”されていることです。
「なんで、私が医学部に!?」
「なんで、私が慶応に!?」
「なんで、私が早稲田に!?」
「なんで、私が上智に!?」
まさに、ターゲットである受験生の心をつかむ素晴らしいキャッチフレーズです。
5-2. 広告のキャッチフレーズ以外からのダウンフレーム
広告のキャッチフレーズだけでなく、世の中には無数のダウンフレームの種が存在します。
そのひとつが書籍のタイトル、題名です。
『本のない図書館』は、惜しくも亡くなられてしまった長田弘さんという詩人の方の詩集です。
『深呼吸の必要』をはじめ、長田弘さんはたくさんの詩集を出されています、ぜひ読んでみてください。
そして、この『本のない図書館』をダウンフレームしてみましょう。
当然あるものがない、というのがこの『本のない図書館』というタイトルに、僕ら読者が心動かされる理由です。
図書館は貸し出すことを目的にたくさんの本が集められた場所。その図書館に本がなければ図書館ではなくなってしまう。では、『本のない図書館』とは、いったいどんな図書館なのか、いったいどんな場所なのかと、思わず表紙をめくってなかを読みたくなるではないですか。
このなかを読みたくなるということは、キャッチフレーズの最も大切な目的のひとつであることはあなたもきっとご存知に違いありません。
そう、『本のない図書館』のように、その先に書かれている文章を読みたい気持ちにさせる、そんなキャッチフレーズを作るためにダウンフレームしてみましょう。
基本キャッチフレーズ
「本のない図書館」
↓
ダウンフレーム・ファイル
「○○のない○○」
↓
「なに」をいうか
・当然あるものがない
↓
ダウンフレーム・キャッチフレーズ
「食事制限のないダイエット」
「暗記のいらない英会話レッスン」
「練習のいらないゴルフ上達法」
「利息のない住宅ローン」
特にDRM、ダイレクトレスポンスマーケティングでは、きわめて威力を発揮するそんなダウンフレームです。
5-2-1.雑誌のタイトルからのダウンフレームでの作り方例
雑誌のタイトルもまた、格好のダウンフレーム・ファイルです。
電車に乗ると、さまざまな雑誌の中吊り広告を目にします。
雑誌広告の中吊り広告は、その雑誌を買ってもらうためにつねに戦いつづけています。雑誌の販売部数を左右する最も大切な1行が、雑誌のタイトルなのです。
それだけに吟味され尽くし、そして読者ターゲットの心を巧みにつかむタイトルが考え抜かれているのです。
さあ、はじめましょう。
基本キャッチフレーズは、
「春までに恋人ができるカラダづくり」。
これは『Hanako』という雑誌のキャッチフレーズです。
まず、練習の意味も込めて、1秒でできるダウンフレームを使った作り方を試してみましょう。
基本キャッチフレーズ
「春までに恋人ができるカラダづくり」。
↓
ダウンフレーム・ファイル
↓
「○○までに恋人ができるカラダづくり」
↓
ダウンフレーム・キャッチフレーズ
「夏までに恋人ができるカラダづくり」
「秋までに恋人ができるカラダづくり」
「冬までに恋人ができるカラダづくり」
ほら、1秒でできてしまいます。
こうして慣れないうちは、一文字変えるだけでもいいのです。
そうして、キャッチフレーズの作り方に対する苦手意識をなくしていっていただきたいのです。
さらに、少しだけ応用してみましょう。
「クリスマスまでに恋人ができるカラダづくり」
「バレンタインデーまでに恋人ができるカラダづくり」
「卒業式までに恋人ができるカラダづくり」
なんだか、こうしてキャッチフレーズをダウンフレームしているだけで、あなたもカラダづくりしてみたくなっていませんか。
頭のなかが柔軟になったところで、もう一度ダウンフレームしてみましょう。
「春までに恋人のできるカラダづくり」
↓
ダウンフレーム・ファイル
「○○までに○○な○○」
↓
ダウンフレーム・キャッチフレーズ
「夏までにTシャツの似合うカラダづくり」
フィットネス雑誌のキャッチフレーズができあがってしまいました。
この『Hanako』をはじめ、マガジンハウスさんの雑誌のキャッチフレーズは、いつもとても秀逸です。
しかも、なぜかダウンフレームしやすいキャッチフレーズが多いのです。
たとえば、『Brutus』の
「わざわざいきたくなるホテル」
などがそんなキャッチフレーズです。
このキャッチフレーズなど、
「わざわざいきたくなる○○」というダウンフレームがすぐにつくれます。
「わざわざいきたくなるレストラン」、
「わざわざいきたくなるカフェ」と簡単にダウンフレームできるのです。
ポイントは「わざわざいきたくなる」というフレーズとの組み合わせる作り方です。
ホテルは本来は旅行の目的地にそって選ぶものです。けれど、「わざわざいきたくなる」というのは、そのホテル
に泊まるためにそこにいくという、極端にいえば本末転倒なホテル選びなのです。
私たちが「わざわざいきたくなるホテル」というキャッチフレーズに心動かされるのは、そういうアンチテーゼ、意外性がこのキャッチフレーズには含まれているからなのです。
だから、「わざわざいきたくなるコンビニ」というほうが心に刺さるのです。
なぜなら、コンビニはいちばん便利なところを選ぶもので、わざわざいくところではないからです。
雑誌のキャッチフレーズには、こういう学びや発見がとても多いので勉強にもなるのです。
ぜひダウンフレームを使った作り方を試してみてください。
5-2-2.ビジネス書の目次からのダウンフレームを使った作り方の例
書籍、とりわけビジネス書のタイトル、題名ほど練りに練られた“キャッチフレーズ”はありません。
それは、ビジネス書が売ることに必死になっているうえに、ビジネス書が売れるかどうかはタイトルにかかっていることを出版社の編集者の方が誰よりもよく知っているからです。
ビジネス書の出版は、文字通りビジネスです。売れなければ、そのビジネス書を出版した意味はないのです。本が、ビジネス書が売れない時代といわれています。そんななかで、ビジネス書ほど厳しくタイトルつまり書名を考えている分野も少ないのです。
少なくともビジネス書では、ほとんどのタイトルは著者ではなく出版社の担当編集者が作っています。
それは、一冊のビジネス書が売れるか売れないかは、そのビジネス書の中身に書かれた内容ではなく、たった1行の書名、タイトルにかかっているからです。その本が売れるかどうかの責任やリスクを背負っているの出版社であり担当編集者です。
著 者は売れた場合に、その売れた部数に応じて印税を受け取るだけでリスクを負うわけではありません。初版といわれる最初の出版部数に応じた印税を受け取れる のです。そうでない場合もありますし、また商業出版ではなく自費出版ではその限りではありませんが、一般的なビジネス書の出版ではそうなっています。
だから、ビジネス書のタイトルは、出版社の編集者が血眼になって考えた結果生まれた、まさに至極のキャッチフレーズといえるのです。
そして、タイトルの次に大切なのが目次といわれています。
読者は本屋さんで背表紙のタイトルを見て、棚から一冊の本を抜き出し、次に目次に目を通してその本を買うか買わないか値定めるのです。
そんな目次の1行1行も、実は素晴らしいキャッチフレーズに違いないのです。
今回ご紹介するのは、『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』(池田潤)というビジネス書です。
このタイトルも素晴らしく興味をそそるキャッチフレーズですが、それに勝るとも劣らず、目次の1行1行が素晴らしいのです。
タイトルを含め、そのすべての目次をダウンフレームしてみました。
テーマは、ゴルフレッスンです。
けれど、これはさまざまな分野でダウンフレームが可能です。
「料理の美味しさは「キッチンに立つ前」にきまる」「英会話の上達は「レッスンを受ける前」にきまる」
とタイトルをダウンフレームしたら、1行1行の目次をぜひダウンフレームしてみてください。
きっとさまざまな発見があるはずですから。
5-2-3.文学作品からのダウンフレーム例:『アンネの日記』
あのアンネ・フランクが残した世界の名著、『アンネの日記』。
その書き出しをあなたはご存知でしょうか。
『アンネの日記』を読まれたことのある方でも、そう聞かれてすぐに答えられる方は少ないかもしれません。
でも、その書き出しほど印象的な書き出しはないといっても過言ではありません。
「あなたになら、これまでだれにも打ち明けられなかったことを、なにもかもお話できそうです。」
なんて素直で、なんて純粋で、なんて情感のこもった書き出しでしょうか。
難しい言葉は一切使っていないのに、優しい口調のなかにどこか格調ある毅然とした態度まで漂っている。
こんな書き出しで文章を書き始めたらどんないいでしょうか。
そして、この『アンネの日記』の書き出しを、アンネ・フランクに限りない感謝を込めてダウンフレーム・ファイルを作ってみました。
「あなたになら、これまでだれにも打ち明けられなかった○○を、なにもかもお話できそうです。」
そして、このダウンフレーム・ファイルを使って、LP 、ランディングページの書き出しのコピーを書いてみました。
「あなたになら、これまでだれにも打ち明けられなかったダイエットの秘密を、なにもかもお話できそうです。」
どうでしょうか、なんともその続きが読みたくなる書き出しになっていないでしょうか。
DRM、ダイレクトレスポンスマーケティングのコピーライティングでは、その次のコピーを読んでもらうことくらい大切なキャッチフレーズの役目はありません。
そのためについつい“煽り”がちなコピーになってしまう場合も少なくありません。
でも、いくら煽ってもかえって読んでもらえません。
そもそも、煽り的なコピーでひとの心が動くほどひとの心は簡単ではありません。
でも、この『アンネの日記』の書き出しほど、その続きの文章を読みたくさせる書き出しはないといえるでしょう。
悲運のまま亡くなられたアンネ・フランクは、作家志望だったといいます。
天国のアンネ・フランクに限りない敬愛の気持ちを忘れずダウンフレームしていただきたいものです。
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6.まとめ
あなたが作ろうとしているキャッチフレーズの狙いは何なのか。
誰に何を伝えたいのか。それで作り方は決まります。
それが決まれば、あとはダウンフレームするだけでひとを動かすキャッチフレーズができあがります。
日頃から、あなたの心を動かしたキャッチフレーズを集めておいて、それをダウンフレーム・ファイルとして活用するのが、最もあなたらしいキャッチフレーズを作れる最良の方法です。
ぜひ、このいままでにないダウンフレーム・コピーライティングを活用して、あなただけのひとを動かすキャッチフレーズを作ってください。
1958年、横浜生まれ。同志社大学文学部卒業。
広告企画制作・株式会社エヌワイアソシエイツ、総合広告代理店・株式会社インターストラテジー、ソーシャルメディア専門広告代理店・株式会社ソルト等の経営者であり、広告プロデューサー、ブランディングプロデューサー、コミュニケーションクリエイター、ディレクター、コピーライター、コーチ、セミナー講師、作家、詩人として幅広く活動。大手企業の広告キャンペーンを手がけ、多くの商品をヒットに導く。30年以上の広告人としてのキャリアの中で培った、商品の隠れた可能性を見つけ、付加価値を高める独自のブランディング手法を確立。そのブランディングノウハウを広く提供し、著名人の撮影やクライアントのパーソナルブランディングをプロデュース。プロフィール構築からポートレート撮影、目標達成や成功をサポート。クライアントは多岐にわたり、カリスマブランディングプロデューサーとしても定評を集める。マイケル・ボルダック認定コーチ。経済産業大臣登録中小企業診断士。